2008年5月30日金曜日

047:仏法をあがめ、

一、仏法をあがめ、心を正直にもつ人は、今生もすなを(素直)に、後生も極楽にまいり、親のよきには、子も天下にめしいださるゝ事おほし。我が力にあらず。神佛の加護し給ふゆへなり。何事も弓箭をはじめて、上として名をあらはし、徳をしかせ給ふ事、定法正直にすぎてはなし。親のなきを子は、其身の心ならで人にしられ、諸人はうしん(芳心)のぎ(儀)あり。されば子孫はんじやう(繁昌)何事かこれにしかん。佛法盛なれば万法さか・(ん)なり。すゑ(末)の世に仏法を本とせん人、子孫つぎ(継)にやなるべしと申候事あるべし。佛神をわろかれと思給ふべからず、天魔人をよかれとおもふべからず。しかれば、善事悪事につきて子孫繁昌たえぬべし。ふるきこと葉(言葉)にも寸善尺魔と申事あり。能々心得て物にさまたげられ給ふべからず。

極楽寺殿御消息 北条重時

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