2008年5月14日水曜日

003:しゆつけをひばうとする事あるべからず。

一、しゆつけ(出家)をひばう(誹謗)とする事あるべからず。をろか(愚か)におもひ(思ひ)・[ひ]ばう(誹謗)せんは、ほとけ(佛)の御身より血をあや・[す](零す*流す)(に)あひにたり(相似たり)。又大乗ひばう(誹謗)のものは、ほとけ(佛)の冥りよ(冥慮)にそむく(背く)也。すなはち二世のそん(損)有(ある)べし。今生にては、きく(聞く)人に無道のものかなとおもて(面)を見られ、うしろにては、これをそしる(謗る)。後生にてはくろがね(黒金*鉄)のはし(箸)にてした(舌)をぬかれ(抜かれ)、くつふ(苦痛)たとへがたし(譬え難し)。またうかむ(浮かむ)事を得ず。たゞたつとみ(尊み)給ふべし。いかでか(如何でか)まよひ(迷ひ)のまへ(前)にはしる(知る)べき。しんるい(親類)又は子などなりともぶれい(無礼)なるべからず。一さい(一切)のしやもん(沙門)をば、よきあしき(善き悪しき)ところにいろはず(綺はず*関わらず)して、しやうしん(生身)のほとけ(佛)とおがみ申(拝み申す)こそ、善をこのむ(好む)人にては候はんずれ。能々(よくよく)しんがう(信仰)し給ふべし。

極楽寺殿御消息 北条重時

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