2008年5月20日火曜日

024:まゝはゝの事、

一、まゝはゝ(継母)の事、まゝ子(継子)事にをひてふかく(深く)うらみある事、これ又おほき(大)なるあやまり(誤)也。そのゆへは、ちゝ(父)はそふ(添ふ)なり(*父に添ふなり、の誤写か)。父のはからい(計い)としてあるところを、子のみ(身)として、はゝ(母)を何かといひおもはする(言ひ思はする)事は、ちゝ(父)をあざむくにおなじ。されば父をあざむかん事は、その罪のがるべからず。たとひまゝはゝ(継母)ひが事ありといふとも、をんな(女)なるうへは、さだめて(定めて)ゐんがのだうり(因果の道理)もあるべし。おや(親)の心にかなふは、佛神の御心にかなふとひとし(等)。我がはゝ(母)にかはりておもふ(思ふ)べからず。あさましき事也。返々能々心得て、おんびん(穏便)の心あるべし。

極楽寺殿御消息 北条重時

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