2008年5月14日水曜日

002:ほうこうみやづかひをし給ふ事あらん時は、

一、ほうこう(奉公)みやづかひ(宮仕ひ)をし給ふ事あらん時は、百千人の人をばしり(知り)給ふべからず。君のことを大事の御事におもひ(思ひ)給ふべし。いのち(命)をはじめて、いかなるたから(宝)をもかぎり(限り)たまふ(給ふ)べからず。たとひ主人の心おほやう(大様*鷹揚、大まかで気が付かない)にして、おもひしりたまはず(思ひ知り給はず)とも、さだめて佛神の御かご(加護)あるべしとおもひたまふ(思ひ給ふ)べし。みはづかひ(宮仕ひ)とおもふ(思ふ)とも、是もおこない(行 *佛道修行)をすると心のうちに思べし。みやづかひ(宮仕ひ)のことはなくして、しう(主)のおん(恩)をかふむらん(被らん)などゝおもふ(思ふ)事は、舟もなくしてなん(難)海をわたらん(渡らん)とするにこと(異)ならず。

極楽寺殿御消息 北条重時

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