一、そせう(訴訟)、さならぬようをも( *訴えられた側の言い分にならないような言い分をも)きゝ(聞き)給ふべし。人のなげき(嘆き)をうけぬれば( *他人から訴えられれば)、わがうへに申事かなはぬなり( *自分に言い分があっても筋道だてて申し開きすることは難しいものだ)。よもかなはじとおもふそせう(訴訟)のかなはすは( *まさか通るはずが思っていた原告の訴えが通ってしまうことは)、いかばかり悲(かな)しかるべき。上へむけてけんじん(賢人)はなき也。ひが事あれば罪科あり。それにおそるゝものか。いやしき(賤しき)にたいしての賢人こそしかるべけれ。
極楽寺殿御消息 北条重時
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