2008年12月3日水曜日

087:弓矢の事はつねに儀理をあんずべし。

一、弓矢の事はつねに儀理をあんずべし。心ののうかなると、弓矢の儀りをしりたるとは、車の両輪のごとく、ぎりをしると申は、身をも家をもうしなへども、よきをすてず、つよきをおごらず、儀理をふかくおもふ。是は弓矢とり也。其儀りは無沙汰なれども、敵をほろぼすはかうの物也。おなじくは車の両輪のかなふごとくに心え給ふべし。ふるき詞にも、人は死して名をとゞむ、虎は死して皮をとどむ、と申事あり。いのちも身のなり行事もさだまれる事也。おしむにとまる事なし。ねがふにきたらぬだうりをしり給ふべし。

極楽寺殿御消息 北条重時

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