2008年12月3日水曜日

085:唐土にくろをさると申ことのありし也。

一、唐土にくろをさると申ことのありし也。我はそなたへつけ給へと申、人は我かたへつけよと申。かやうにろんずるを、隣国のそせうに、王宮へのぼりけるがきゝて、人はいかなれば、是ほどやさしくよくをはなれん、と申て、それよりかへりぬ。これは其国の王の御心賢王なれば、隣国までかくのごとく、とくゆうあるこそめでたけれ。返々たかきいやしきにかぎらず、貪欲をすて、正直ならんと神にも仏にもいのるべし。

極楽寺殿御消息 北条重時

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